損保・生保とも歴史的な好況局面にある。損保3メガ(東京海上HD・MS&AD・SOMPO HD)は自然災害が比較的小康だった一方、自動車・火災保険の継続的な料率引き上げと運用益拡大で過去最高益を更新、ROE二桁(SOMPOは17%)を実現している。最大の構造変化は政策保有株式(持ち合い株)の全廃方針で、3メガ合計で数兆円規模の売却益とそれを原資にした大型自社株買い・増配が株価を押し上げ、東京海上HDは時価総額でメガバンクに迫る水準まで買われた。背景には2023年のビッグモーター不正・企業向け保険のカルテル問題で金融庁が業界の構造改革(顧客本位・ガバナンス)を強く迫った経緯がある。
追い風は日銀の利上げ・金利上昇局面で、生保の第一生命HDは予定利率の引き上げや運用利回り改善で利ざやが好転、損保も滞留資金の運用益が増える「金利の正常化」の最大の受益者。政策保有株売却は2020年代後半まで続き、毎期の売却益と還元拡大という「自己資本のスリム化」ストーリーが当面の株価ドライバーとなる。リスクは大型自然災害(台風・地震)と海外事業の保険引受サイクル悪化で、東京海上は米デルファイ等を通じた米国比率が高く再保険料率の反転や為替に左右され、第一生命はプロテクティブ等の海外M&Aと国内の人口減・解約動向が焦点。料率引き上げ一巡後の成長の踊り場と、還元一巡後の次の成長エンジン(海外M&A・少額短期・健康増進)の確立が中期の試金石となる。